漂流恐龍道中記 [A Dinosaur's Oddest Odyssey]

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ネイティブスピーカーとはどんな人のことか? / What is a native speaker?

日本には大きな言語教育の市場があり、一般の日本人学習者には母語話者(ネイティヴスピーカー)から英語などの言語を習うことを希望し、またそれが適した方法であると思っている人も多くいます。そのこと自体が問題とは言えませんが、実際に蓋を開けてみると、教師選びで重要視している筈の「母語話者」がどういう人のことを指すのか具体的に知っている人は殆どいません。先ず、「母語」とはその人が親など身近な人を通じて最初に習得する言語のことです(よく「母国語」と言う人がいますが、「母国の言語」という意味になってしまい、バイリンガルの場合や複数の言語が使用される国の場合は辻褄が合わなくなるのでここでは間違いです)。ある言語を母語として話す人を母語話者といいます。応用言語学ではこの「母語」を「L1」という用語で置き換えることがあります。L1とはその人の使う言語のうち最も熟達度の高いもので、次点の言語をL2、その次をL3(以下略)と呼びます。

ここで大切なのが、母語とL1は必ずしも同じ言語とは限らないということです。最初に覚えた言語がその人の最も得意な言語になった場合にのみこの2つは一致します。例えば、親から覚えた言語と学校教育で一貫して使われている言語が異なる場合や、小さい時に別の言語の話されている場所に引っ越してその土地の言語に慣れてそちらを優先するようになった場合など、何らかの理由で後から覚えた言語を優先して習得・使用するようになったときにこのようなことが起こりやすくなります。

また、言語によっては取り巻く状況がこれまでとは違っている場合があります。例えば英語などは他の言語との接触によって多様化が進み、1つの言語というよりも「複数の似た言語の集まり」という概念で説明されています。英語に関しては、元々学習者特有の英語だったものを母語として話す人も出てきており、何が母語話者かを定義することがどんどん難しくなっています。

このようなことを多くの学習者は知りません。学習者ならまだしも、日本では語学学校を含む企業の殆どはこうした事実を全く想定しておらず、的外れな内容の求人広告が並んでいます。日本以外でも似たような状況の国はありますが、多言語化が進んできた今日では日常的に言語についてもっと深く考えることも重要になってくるのではないかと思います。

Notorious are the Japanese when it comes to learning languages, even though there is a fairly large language education market in Japan. A lot of lay Japanese people want to learn a language like English from a native speaker of it because they believe that a native speaker must be an expert and that must be the best solution. It is fine if they want it that way as long as it motivates them, but there is something that they never think about: what exactly is a native speaker? In applied linguistics, it is widely accepted that a native speaker of a language is someone who acquired the language at an early age from people like his/her parents, who take care of the person. A native language is often called an L1 if that is the person's dominant language. There are also L2, L3,..., and Ln if the person has acquired more than a language. An L2 is one's second most dominant language, and an L3 is one's third most dominant language, and so it goes on.

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